異国でもそこにいるのは同じ人間
当時、私は大学に入学したばかり
慣れない大学生活に戸惑いながらも、自分で受ける授業を選択できるということに大きな喜びを感じていた。
「私はなんて恵まれてるんだろう」
大学に通わなかった/通えなかった友達を横目に少しの罪悪感と、18歳で就職を選べなかった自分の未熟さに不甲斐ない気持ちも確かにあった。
そんな時、ネパールで大地震がおきた。
私は3.11のことを思い出していた。14歳だった私は、当たり前に何もできなかった。
現地で人の命を救うこともできないし、ましてやお金がないので寄付すらもできない。
そもそも寄付にどのくらいの価値があるかも全くわからなかった。
しかし私はもう18歳で大学生になった。
中学生の時より少し大人になったのだ。
3.11の時は海外からたくさんの寄付や物資を日本はいただいた。さらに物だけではなく、たくさんの祈りや人命救助への願いをもらっていたことを私は知っていた。
それは15歳でNZに行った時、近所の外国の人と会話している時、あとはメディアを通しても知ることができた。
次は私たちがお返しする番だ
そう意気込んでみたのはいいが、18歳でお金も知識も人脈も何もない私に何ができる?
そんな葛藤を抱きながら学内ホームページをぼーっと見ていた時、転機は訪れた。
「誰でもできる地図づくりを通してネパールを支援しませんか?」
正確なタイトルは覚えていないが、こんな感じのメッセージが掲載されていた。
私は半信半疑な思いで、その地図づくりを教えてくれるという教授の呼びかけに応じた。
そこには教授にしては比較的若そうな人と、さらにその隣には大学生か?ってぐらい若そうな2人が前に座っていた。
呼びかけに応じた数人の学生達は自分のパソコンを持ってその2人を見ていた。
ちなみに私は数週間前に、ローンを組んで買った初めてのパソコン、MacBookを使う場面が来た!と内心ワクワクだった。
この時に出会った教授が、のちに私の恩師となる古橋先生だった。(隣にいた大学生はたむけんさんでした)
古橋先生は淡々とOpenStreetMapの編集の仕方をその場でレクチャーしていた。
本当に淡々と説明していたのだが、CrisisMappingという活動の目的を話す時それまで関わってきた先生とはどこか違う、自分の意思が声にのっかっていた気がした。
それは1時間弱の出来事で、まだなんだかよくわかっていなかったけれど
「お金がなくても、時間とパソコンさえあれば国境を越えて人の役に立つことができる。私にもやれることがある。」と、初めて身を持って体験したわけである。
Crisis Mappingという活動
そもそも聞き馴染みがない読者に向けて、OpenStreetMapの解説からしよう。
世の中にはたくさんの地図があるが、その中でもOpenStreetMap(略してOSM)は特別な地図だ。
どこが特別なのかというと主に次の2点
・誰でも無料で利用できるように公開されている
・世界中の有志作業者(マッパー)が地図を編集/作成している
※なおOSMの地図データはマッパーが追加したもの以外にも、政府や企業から提供されているデータも含まれている。
それゆえにOSMはしばしば、地図のWikipediaなんて表現をされたりもする。
Crisis Mappingの意味は
「自然災害等の危機的状況下で、その現場の状況がわかる地図を作り、世の中に発信することを目指す。」ということだが
災害発生時、私達はこのOSM上に地物データを描いている。
ここでちょこっと私たちの活動紹介
先ほど登場した古橋先生が作った「NPO法人クライシスマッパーズ・ジャパン」という団体がある。
ここでは災害発生時、迅速に空撮画像を撮りマッパーに展開する災害ドローン救助隊「DRONE BIRD」と言った取り組みもしている。
志のある卒業生の集まる場を作る
私は約2年前から先生が育てた学生のうち、志ある卒業生の集まる場を作ろうとしている。
私の身近にいた信頼できる2人を誘い、今は3人で活動中。これから少しずつ仲間を増やしていく予定だ。
地図づくりの活動は孤独だ。だからこそ仲間を作り、お互いに刺激し合う関係が必要だと考えた。
そして我々若い世代が自発的に動くサイクルを作りたい。
もしこのブログを読んでいる古橋研究室の在学生/卒業生がいたら、以下条件を確認してほしい。そして良いなと思ったらぜひ仲間になろう!
- 期待する人物像
- ①古橋研究室を卒業して社会人を1〜2年以上経験していること
- ②自分の知識やスキルをチームに還元する意思があること
私達はもう学生ではない。
己の専門性や経験値を磨き、社会に還元するフェーズにきている。
これからもテクノロジーが持つ可能性を信じ、かつそれを国境を越えて社会に活かす方法を考えていきたい。
OpenStreetMapとの衝撃的な出逢いを、次の行動へ繋げていきます。
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読了ありがとうございました。